消費者や政府の求める要件が厳しさを増すなか、企業が直面する課題はより一層難しくなり、その結果、シミュレーション主導の設計プロセスを採用する自動車メーカーが増えてきています。シミュレーション主導の設計を導入することで、燃費、安全性、耐久性、操縦性、乗り心地を最適化しながら、設計のやり直し回数を減らし、新製品をより迅速に市場に投入できるようになります。
「Altairの支援により、開発の初期段階で意欲的な目標設定をしつつ、実際の製造における時間とリソースの制約に対処しながら最適化を適用することで、当社は最適化の効果を大きく高めることができました」
Dr. Anthony Hähnel, Powertrain NVH CAE Team Leader
Renault
ギャラリー
1,000万要素のモデルを使った衝突のハイパフォーマンスシミュレーション(RADIOSS)
エアバッグ開発(RADIOSS)
キャビンの乗り心地(AcuSolve)
ブレーキの冷却(AcuSolve)
トポロジー最適化を用いた車両フレームの設計(OptiStruct)
ウォータージャケットの表面圧力シミュレーション(AcuSolve)
電磁放射パターンシミュレーション(FEKO)
ビークルダイナミクス(MotionSolve)
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最適化と軽量化
構造性能の解析は、製品開発における数ある手順のひとつに過ぎません。製品開発技術者は、応力、質量、信頼性、その他の必要条件を満たすための部品改良案を提案します。その一方で、より短い設計サイクルで最適設計を開発する努力を続けています。このような意欲的な目標は、Altair HyperWorksの革新的な最先端の最適化技術を使用することで実現できます。
HyperWorksは、複合領域の製品設計サイクルにおける概念設計および設計の微調整の両段階のための最適化技術を備えています。OptiStructは、構造向け概念設計および設計の微調整機能を備えた、すでに市場で高く評価されている解析、最適化のための統合ツールです。HyperStudyは、ほとんどすべてのサードパーティソルバーと使用できる、ソルバーニュートラルな設計の検証、スタディおよび最適化ツールです。
OptiStructとHyperStudyの使用により、下記のことが可能になります。
- 適切な設計をより迅速に作成し、製品をより短期間で市場に投入
- より優れた設計のための革新的なソリューションを考案
- 製造コストおよび二酸化炭素排出量の削減
- より信頼性が高く、よりロバストな設計による製品寿命サイクルの改善
- 設計プロセス全体をサポートする、完璧なツールセットを用いた生産性の向上
エンジニアは最適化を利用することにより、実物の試作機やツーリングに投資する前に、何千もの設計シナリオを試すことができます。そうすれば、傑出した信頼性と強度を備え、燃費の改善と製造コストの削減を達成した製品を、期日通りに仕上げることができます。
衝突・安全
輸送業界のほとんどにおいて、衝突安全に関する条件が設計を左右します。特に自動車業界では、この傾向が顕著です。Altair HyperWorksは衝突安全設計に対応した最先端のCAE統合プラットフォームであり、設計のすべての工程を網羅しています。
世界中の輸送分野の技術者が、衝突安全に関する規制に適合した構造設計を行うことができる最高の解析ツール群として評価しているHyperWorksを是非体験してください。
騒音・振動(NVH)
騒音と振動は、車両の感性品質を大きく左右する要素のひとつです。初期段階の問題を解決するためのすべてのソリューションを装備したAltairの騒音・振動シミュレーションテクノロジーを利用すれば、自動車メーカーは競合他社の上を行くことができます。
HyperWorksの騒音・振動ソリューションには以下が含まれます。
- HyperMeshには、自動車専用の音響空洞メッシャーなど、強力なメッシングおよびモデルアセンブリ機能が搭載されています。
- 全周波数をカバーするマルチフィジックスソルバーで、定常 / 非定常現象を解析できます。
- MotionSolveは、最新の高性能なマルチボディダイナミクスソルバーです。乗り心地、シフトクオリティ、パワートレインマウント、衝突ハーシュネスなどに使用されています。
- OptiStructは、静荷重および動荷重下の線形および非線形構造の問題に対応する、業界でも折り紙付きの最新の構造解析ソルバーで、市場の最先端を行く構造設計と最適化のためのソリューションです。OptiStructには、NVH解析と最適化のための独自の高度な機能として、自動TPA解析、大規模なモデルに対応した固有値ソルバー(AMSES)、各種モデル縮小機能、設計感度解析、構造物のNVH性能の最適化を容易にするERP応答機能などが搭載されています。
- 高速多重極境界要素法ソルバーと高周波の統計的エネルギー解析(SEA)機能が、Altairパートナーアライアンス内で提供されています。
- HyperViewによる問題の診断とスタディ: NVH問題の物理的な要因の理解や、素早いwhat-if スタディを通した感度の高いパラメータ特定のための、強力なポスト処理ユーティリティを提供
Altairの製品開発コンサルティング部門は、NVHに関する広範な知識と経験を2つのパッケージソリューション製品に集約しました。
- NVH Directorは、最も先進的な真のフルビークルNVHソリューションです。ユーザーは、きわめて高度なNVHシミュレーション機能のメリットを享受することができ、サブシステムのメッシングとアセンブリ、NVHイベントのシミュレーションの荷重ケースと求解、問題の診断と最適化を含む、フルビークルNVHプロセスのあらゆる側面を効率的かつ容易に実行することができます。
- Squeak and Rattle Directorは、アセンブリの異音と低級音(S&R: Squeak and Rattle)の根本原因を排除するために、設計の代替案を素早く特定して解析できるソフトウェアオートメーションです。
車両運動力学
高級スポーツカー、経済的なコンパクトカー、頑丈なSUVもしくはオフロード車のいずれも、乗り心地および操縦性が車両の快適性と性能の大部分を決定します。車両設計では、自動車の「乗り心地」を解析して向上させるために高度な技術が必要とされ、シミュレーションは最適な解決策を見つけるのに不可欠となっています。
Altairのマルチボディソリューションは、車両の運動性能に影響する以下の重要な指標に関するシミュレーションおよび最適化を支援します。
- サスペンション設計: サスペンション設計の最適化スタディによる設計最適化
- 乗り心地と操作性: 適切な操作性と耐久性に優れたタイヤを使用した、車両全体の操作性および乗り心地の向上
- 疲労解析向け荷重予測: フォーポスト耐久性解析、または耐久性に優れたタイヤを装着したフルビークルを使用した解析を実行し、バーチャルモデルを使って疲労解析を行うための荷重を生成
耐久性・疲労
今日の産業において、製品設計における耐久性は重要な要件となっています。顧客は、堅牢な設計を期待しています。製品の耐久性テスト結果に応じて設計サイクル後半に行われる設計変更は高いコストを生み、製品およびシステムのリスクを発生させます。製品耐久性のシミュレーションを行うことで、製品開発チームは設計の初期段階で耐久性および製品に関するさまざまな情報を的確に捉えることができます。
HyperWorksに含まれる耐久性シミュレーションツールは以下のとおりです。
- MotionViewとMotionSolveには、初期コンセプト設計時に活用する荷重予測機能のほか、得られた荷重条件を有限要素解析に与えるための自動化ツールが搭載されています。
- OptiStructは、静荷重および動荷重下の線形・非線形構造の問題に対応する、業界でも折り紙付きの最新の構造解析ソルバーで、新しい革新的な疲労最適化機能を搭載した、疲労と応力解析のための業界最先端のソリューションです。
- Altairパートナーアライアンスを通じて、FEMFAT、DesignLife、CAEfatigueといった先進的な疲労解析ソリューションを使用することができます。
空気力学とCFD
製品開発プロセスで数値流体力学(CFD)を利用することで、重工業のエンジニアは、流れ、伝熱、流体応力に関する問題を解くことができます。HyperWorksの統合環境は、設計上のCFDの問題にも対応できます。
設計サイクルが短縮された現状に本当の意味で影響を与えるには、CFDモデルの構築および結果の可視化のための最先端のテクノロジーが必要です。HyperWorksのジオメトリ操作、クリーンアップ、メッシュ生成の各種テクノロジーは、サーフェス作成、体積充填、境界層メッシングの機能が搭載されたクラス最高のソリューションです。
以下をはじめとする実機シミュレーションに応用されています。
- 定常、非定常、追い越し運転の空力
- アンダーフードの流れと熱の管理
- パワートレイン冷却システム
- クライメートコントロール(キャビンの快適性、HVACシステムなど)
- 排気システム
- ブレーキの冷却
HyperWorksのVirtual Wind Tunnel(VWT)には、風洞シミュレーションの自動化・簡素化ワークフローが搭載されています。エンジニアはVWTを利用することで、自動車やトラックの空力性能をより正確かつ迅速に予測することができます。
電磁場
今日、車両に搭載される電気システムの数は増え続けており、インフォテイメントシステム、ナビゲーションシステム、コントロールシステム、アクティブセーフティシステムなど枚挙にいとまがありません。こうした電気システムは消費者にとって不可欠である一方、エンジニアにとっては新たに管理しなければならない破壊モードが増えたことになります。
FEKOは、数値電磁界モデリング・求解・可視化のすべての機能が搭載された統合環境です。以下をはじめとする電磁界シミュレーションに応用されています。
- 無線通信のためのアンテナ設計
- 車両のアンテナ配置
- RCS解析
- ケーブルの設計と配置(EMI/EMS仮想試験)
- 金属または誘電体の閉鎖空間の電磁遮蔽